住宅ローンの契約後「どうやって登記するの?」
住宅ローンの契約が終わると「不動産登記」という手続きを行います。
不動産登記は、誰が土地や建物を所有しているのか、法律上の「所有者を明確にする」といった目的があります。本記事では、登記の流れと主な目的、不動産登記の(法的な)効力について説明します。
なお、登記に必要な書類については、以下の記事を参照してください。
この記事でわかること
ローン契約後、登記までの流れ
住宅ローンの審査が終わり、融資の申し込みをすると、融資の実行日が決まります。
融資の実行とは住宅を購入する資金が自分の銀行口座に振り込まれることを指します。融資の実行と同じ日に不動産会社や仲介業者に物件代金を支払います。多くの場合は自分の口座から不動産会社・仲介業者の口座に資金が振り込まれます。
これをもって住宅が自分のものとなります。
ただし、これだけでは不十分です。法的にも自分の所有物であるということを示すために「不動産登記」をする必要があります。
不動産登記には
A:所有権移転登記
B:所有権保存登記
C:抵当権設定登記
があります。
それぞれの意味は次の通りです。
所有権移転登記 | 中古住宅や土地を購入した場合、元の持ち主から自分に所有権を移転するための登記 贈与や相続で所有権が移転する場合も行う |
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所有権保存登記 | 新築住宅を建築した場合に行う |
抵当権設定登記 | 住宅ローンを借りた場合に金融機関が「担保にしている」ことを示すための登記 |
住宅ローンで知っておきたい用語No.61: 登記請求権
不動産の所有に関して事実と異なる登記がされている場合に、自分が不利益を受けないために行うのが「登記請求権」です。
登記請求権を行使するケースはさまざまですが、一例をご紹介します。
(土地の売買に関する例)
AさんがBさんから〇〇町△△番地の土地を購入した場合、その土地はAさんのものになります。
しかし、Aさんが土地の所有権移転登記をしていないと、登記上はその土地は登記簿に記載している人のものになります。
そこで元の持ち主であるBさんがCさんにも同じ土地を売った場合(これを二重売買といいます)、Cさんが先に所有権移転登記をすると「その土地はCさんのものである」という主張が通ることになります。
このように不動産は移転登記をすることで完全に所有者のものになるのです。
ところがAさんもお金を出してこの土地を購入しています。そこで法務局にその旨を申し出ますが、口頭で説明するだけでは効力は発揮しません。その場合に土地を売却したBさんに対して「売買の事実があったかどうか」の確認が行われます。
Bさんがきちんと売買の事実を説明してくれればAさんとBさんが共同で登記申請することで、土地の所有権はAさんのものになります。
しかし、Bさんが応じない場合は裁判所で所有権移転の有無や実際の所有者が誰であるかを確認してもらう必要があります。
その際にAさんがBさんに対して「登記をしてほしい」と請求する権利のことを「登記請求権」といいます。
この例からもわかるように、土地や建物を取得した場合はすぐに所有権移転登記を行うことが大切です。
不動産登記に必要な書類とモノ
不動産登記は自分で行うのではなく、司法書士にお願いしてやってもらいます。
その際には、次のものが必要になります。
- 住民票(家族全員・続柄が記載されたもの)
- 印鑑証明書
- 売買契約書
- 委任状
- 実印
- 登録免許税
メモ:登録免許税
登録免許税とは不動産の登記をしたり、法人の登記、船舶や航空機の登録をはじめ、特許権・商標権などの登録などを行う際に必要になるものです。
不動産登記に対しての登録免許税は物件価格に対して次の割合で課されます。
(ただし、2017年3月までは( )内の軽減措置が取られます)
所有権移転登記 | 物件価格の2.0%(0.3%) |
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所有権保存登記 | 物件価格の0.4%(0.15%) |
抵当権設定登記 | 物件価格の0.4%(0.15%) |
不動産登記の法的効力について
不動産登記には、次の3つの効力があります。
- 対抗力
- 権利推定力
- 形式的確定力
それぞれの特徴は以下の通りです。
対抗力 | 売り手と買い手の間で売買が成立しても第三者には買い手に所有権があることを主張できません。 所有権移転登記をすることで、その不動産が買い手のものになったこと(権利)を主張できます。 |
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権利推定力 | 登記をしたことでその内容が事実であると推定されるとする権利です。 実際の権利を保証するものではありませんが、仮に買い手よりも先に第三者が登記してしまうとその人に所有権があると推定される効力があります。 |
形式的確定力 | 登記されている以上、その内容が無効であってもその内容を無視してその後の登記ができないという効力があります。 無効である場合はその登記の抹消をする必要があります。 |
不動産登記の効力をよく理解して、取得した場合は速やかに登記を行いましょう。
不動産の名義を変える場合・注意したいポイント
土地や建物には固定資産税が課されます。その対象となるのは、登記簿に登記されている人または土地補充課税台帳(家屋補充課税台帳)に登録されている人です。
土地や建物を所有したら、すぐに所有権移転登記(または保存登記)を行い、名義変更をしましょう。
不動産の名義変更をするには、法務局に行って所有権の移転登記を行います。
名義変更には売買のほか相続や贈与などのケースがありますが、ここでは売買のケースをご説明します。
名義が変わったことを証明する書類として「売買契約書」が必要になります。ほかには住民票、印鑑証明書などです。
手続きは司法書士にお願いするのが一般的です。
まとめ|不動産は誰のモノ? 登記で所有者を明らかにする
不動産は売買契約をして代金を支払っただけでは自分の所有物として世間に主張することができません。
それを証明するのが「不動産登記」です。住宅ローンの契約が済み、融資が実行されたら速やかに登記を行いましょう。