売買契約の落とし穴! 契約で失敗しないための十箇条
不動産売買は「大きなお金」が動くため(契約や権利などを通じ)トラブルが起こりやすくなります。
ここでは、売買で起こりやすいトラブルの例を紹介するほか、契約で失敗しないための十箇条や、良い業者と「健全な契約を結ぶ」コツについて説明しましょう。
この記事でわかること
物件売買の際、起こりやすいトラブル
不動産売買にはさまざまなトラブルが発生する可能性があります。
事前に「こういうことがあるんだ」と知っておくと、気持ちの準備ができてスムーズに対処できます。
その一部をご紹介します。
①売買契約書にローン特約を付けたのに手付金が返金されなかった
売買契約を結んで住宅ローンの審査を受けたのに、審査に落ちてしまうというケースがあります。その場合は物件の購入資金が準備できないため、契約を白紙に戻して手付金を返還してもらいます。
このことを「ローン特約」といいます。売買契約書にローン特約のことを明記することで適用されます。
しかし、ローン特約を入れたにも関わらず手付金が返金されずにトラブルに発生するケースがあります。
Aさんは「もし住宅ローンの審査が通らなかったら困る」と思い、売買契約書にローン特約を付けることにしました。その予感が的中し審査に落ちてしまいます。融資を受けることができなかったので業者に話して契約をキャンセルしました。
しかし、業者は手付金は返せないと主張します。
よく見ると「どの金融機関で借りるかが書いていないため、ローン特約は無効」とのこと。仕方なくいくつかの金融機関を当たって、金利など条件は悪くなったもののなんとか融資を受けて購入することができました。
Aさんの例のように「金融機関名」「特約期間」「融資希望金額」が未記入の場合はローン特約が適用されないことがあるので注意が必要です。
なお、ローン特約を付けていても、住宅ローンの申し込みに年収や勤め先などを偽って申告した結果、審査が通らなかったという場合は買い主に問題があるため返金されません。
② 複数の業者と契約をしてしまい、それぞれの業者で仲介手数料が発生した
さまざまな物件を見て歩くと、「これもいいな」「こっちもいいな」と迷ってしまい、1つに絞れないことがあります。
Bさんもその一人で、複数の物件で迷っていました。他の人に取られたくないという思いから「とりあえず仮契約だけでも」と複数の業者と契約を交わすことに。
その後、ようやく「これ」という物件に決定したのですが、それを知った他の物件の売り主から「契約違反だ」と言われ、仲介手数料を請求されてしまいました。
安易な気持ちで契約書にサインしないように気をつけましょう。
住宅ローンで知っておきたい用語No.66: クーリングオフ
クーリングオフとは購入の契約をした後で一定期間内であれば無条件で契約の取り消しができる制度のことです。
訪問販売や路上で呼び止められて契約を結んだという「不意打ち」的な契約やマルチ商法のように仕組みが複雑で理解な取引、長時間勧誘されて契約するケースなどが対象になっています。
そのため、自分が店舗に出向いて購入した場合やインターネットの通信販売で購入した場合はクーリングオフはできません。
(一定期間内の返品に応じるところはあります。)
では不動産の購入はどうでしょうか。
不動産売買では「宅地建物取引業法」で次のようなケースの場合に限り、クーリングオフが適用されると定められています。
① 売主が宅地建物取引業者であること
② 買い主が個人であること
③ 宅建業者の事務所等以外の場所で行われた契約
④ 書面で「クーリングオフができる」と告げられてから8日以内であること
⑤ 購入した不動産の代金の全額を支払っていないこと
⑥ 引き渡しが済んでいないこと
なお、③の宅建業者の事務所以外の場所とは喫茶店などのことで、モデルルームや展示場などは事務所と同様とみなされてクーリングオフの対象にはなりません。
これらの条件がすべてそろってクーリングオフをする場合は8日以内に書面に記して内容証明郵便で郵送します。
もしクーリングオフの条件に合わない場合でも強引な販売方法や嘘がある場合、脅迫めいたことがある場合などは消費生活センターなどに早めに相談に行きましょう。
契約で失敗しないための十箇条
住宅購入は一生に一度の大きな契約です。
失敗やトラブルを招かないために、次の点を注意しましょう。
契約で失敗しないための十箇条
- 契約は慎重に
- 全ての契約事項を読む
- 分からない項目は必ず質問
- ローン特約は、最初に確認する
- クーリングオフできるタイミングを確認
- 些細なことでも、知ったかぶりしない
- 仲介手数料の内訳を質問する
- 何でも書面に残しておく
- 口頭での約束はNG!
- 信頼できる相手としか取引しない
多くの人は日々の仕事や家事など忙しい中で物件選びや契約手続きなどを進めなければなりません。そのため、つい書類にサッと目を通すだけとか担当者の説明を鵜呑みにしがちです。
しかし、忙しくても書類はきちんと目を通して、不明点はその都度確認するようにしましょう。
メモ:地積測量図って何?
法務局で閲覧できるものに
・地図(公図)
・登記簿
・地積測量図
・平面図面
などがあります。
地積測量図は土地の面積や地番、形状、境界線などが記載されています。
1つの土地を分ける(分筆)場合や面積の変更、沼などを埋め立てて新たに土地をつくる場合などに作成して登記申請書と一緒に法務局に提出します。
土地を購入する場合は土地登記簿と一緒に確認することで土地の形状や面積などを知ることができます。
良い業者と、健全な契約を結ぶコツ
不動産購入で失敗しないための条件のひとつに「良い業者を選ぶ」ということがあります。
「大手住宅メーカーなら安心」と思わずに、ていねいに調べていきましょう。
当サイトのように住宅ローンに特化したサイトなら業者の選び方や全国の業者に関する情報を集めやすくなっています。
ぜひ利用してみてください。
まとめ|契約を結ぶ前に「売買契約の基礎知識」を身に付けよう!
不動産購入でもクーリングオフが適用されるケースがあります。
しかし、できればトラブルは避けたいものです。
そのためにも契約は慎重に進めましょう。
売買契約の基礎知識をしっかり身につけて、良心的な業者を選んで気持ちよく契約を進めることが大切です。