返済トラブル「途中で返済できなくなったら?」
住宅ローンの利用で、最も避けたいのは「返済の遅延」です。返済が遅れてしまうと、住宅ローンが利用できなくなり、最悪の場合マイホームを手放すことになります…。
本記事では、支払いが出来なかった場合「何が起こるのか」詳しく解説します。また、最悪の事態を避けるため、問題解決のポイントについて説明したいと思います。
この記事でわかること
返済が滞った場合、何が起こるのか?
通常、クレジットカードの返済が1回でも遅れると確認のハガキや電話があります。それでも支払わないと振込用紙や払込用紙などが届きます。それでも支払わない場合は督促状が届きます。
住宅ローンもそれと同じで1回遅れるとハガキ(遅延通知)が届きます。それも支払わずに翌月も遅れる(滞納2回)と、「すぐに支払ってください」という督促状が届きます。
クレジットカードの返済が遅れると返済分の入金があるまではカードの使用がストップされますが、住宅ローンの場合はマイホームを手放すことになるかも知れません!
「1~2回遅れたくらいなら問題ないだろう」と、甘く考えないことが大切です。
延滞は何回まで、認められるのか(代位弁済までの期間)
返済が遅れた場合に届く督促状には「このまま返済が遅れると代位弁済の手続きを始めます」という旨のお知らせが書いてあります。
延滞が3ヶ月続くと代位弁済の手続き開始の通知が届くと言われています。「1~2回の遅れは誰にでもあること」とノンキに構えていると大変なことになってしまいます。
住宅ローンで知っておきたい用語No.58: 代位弁済
代位弁済(だいいべんさい)とは住宅ローンなどの返済が滞った場合に保証会社から銀行に代わりに返済が行われることを言います。
住宅ローンを借りるときは保証料を払って保証会社に保証人になってもらいます。(最近は保証料が0の場合もあります)保証会社は債務者(住宅ローンを借りている人)の返済が遅れたときに弁済してくれる仕組みになっています。
代位弁済は住宅ローンの残金すべてを保証会社が銀行に支払いますが、以後の支払いが免除されたわけではありません。代位弁済が実行されると、債務者は次の方法のいずれかを取ることになります。
① 全額で一括返済する
② 住宅を売却する(任意売却または競売)
③ 個人再生をする
保証会社に毎月返済するわけではなく全額一括返済を求められます。また、個人再生をするには条件があります。それができない場合は家を手放すことになり、売却した費用で住宅ローンの残金を支払いますが不足する分は自分が支払わなければなりません。
ただし、代位弁済が実行されてから6ヶ月以内に申立てをすれば「巻き戻し」といって代位弁済をする前の状態に戻すことが可能です。
弁護士などの専門家に相談してみましょう。
住宅ローンが途中で返済できなくなった場合の対処法
住宅ローンの返済が厳しくなったら、1回でも延滞しないように他の借入を使ってでも返済しましょう。
キャッシングは金利が高いのですが、住宅ローン1回の返済分程度なら利息は大きな負担にはなりません。(ただし、1回だけにしておきましょう。)
その上で両親にお金を借りるとか、銀行に返済方法の交渉をするといった対策を考えましょう。
まずは代位弁済を避ける、つまり家を手放すという最悪の事態を避けることを最優先にすることが重要です。
メモ:猶予期間のある便利な住宅ローン
長い返済期間の間には、病気やケガでの入院、勤め先の倒産や業績不振などで収入の大幅な減少や支出の増大などが起こる可能性があります。
そういった場合は、まず借りている銀行に相談してみましょう。
・一定期間(子どもが大学を出るまでなど)の返済額を抑えて、それ以降の返済額を増やす
・毎月の返済額を減らして返済期間を延長する
・ボーナス払いの中止や減額
・金利の交渉
・返済期間の猶予(一定期間は金利分だけを返済し、元金の返済を先延ばしにする方法)
などの方法を提案してくれます。このように返済方法や返済期間を変更することを「スケジューリング」とか「リスケ」と呼びます。
最悪の事態を避けるためのポイント
延滞3回で代位弁済の通知が届きます。その段階で銀行に事情を話し、返済方法の相談をしましょう。
住まいを手放すという最悪の事態をさけるポイントは次の3つです。
- 延滞分はすぐに支払う
- 銀行に返済方法を相談する
- 代位弁済の実行があった場合はすぐに巻き戻しの申し立てをする
最近は住宅ローン申込時に加入する「団体信用生命保険(団信)」に3大疾病や8大疾病特約がついたものがあります。
3大疾病 | がん、急性心筋梗塞・脳卒中 |
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8大疾病 | ガン(上皮内ガンを除く)、急性心筋梗塞、脳卒中、高血圧症、糖尿病、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎 |
これらの疾病になって所定の状態が続いた場合は住宅ローンの残金の返済が免除されます。加入時に3大、8大疾病特約付きの団信を契約したり、民間の生命保険で医療保障や収入保障がついた保険に加入しておくと安心です。
まとめ|延滞する前に、返済スケジュールを見直そう
住宅ローンの融資を受けるということは高額の借金の契約をするということです。
もしも延滞した場合は、遅延している返済額の元金に対して年14%の損害金がかかります。
それでも返済をせずに放置していると保証会社の代位弁済が始まることの通知が届きます。代位弁済が実行されると家は競売にかけられてしまいます。
申立てや個人再生などの方法もありますが、弁護士に相談するための費用が発生します。
銀行は返済計画の相談に乗ってくれるので、返済が厳しくなったらまず相談してみましょう。