中古物件の最終チェック!「付帯設備表と物件状況等報告書」
新築と中古物件では、契約の手続きや「注意すべきポイント」が若干異なります。本記事では、中古物件引き渡しの際、確認しておきたい点や、契約書の正しい見方について説明しましょう。
この記事でわかること
中古物件の購入・契約後の手続きについて
中古物件を購入する場合は「売り主」が個人という場合が多く、不動産売買に詳しくないケースがほとんどです。そのため、多くの場合は仲介業者が間に入って手続きを進めてくれます。
気に入った中古物件が見つかって購入するまでの流れをご紹介します。
① 資金計画を立てる
② 買付証明書に記入して購入の申し込みをする
「買付証明書」は「購入申込書」とも呼ばれるもので、「この物件を購入する意思がある」という意思表示をするものです。ほかにも購入希望者がいる場合、先に意思表示をすることで優先的に売買の交渉が進められます。
なお、買付証明書に署名・押印した後での撤回も可能ですが、先方は「物件が売れた」ものとして話を進めていきます。
安易な気持ちで申し込みや撤回をすることのないように、気をつけましょう。
この段階で「申込証拠金」を支払うように言われる場合があります。「仮押さえ」のためなので、もし契約に至らなかった場合は返金されますが念のために領収書を受け取っておきましょう。
③ 重要事項の説明を受ける
宅地建物取引士が重要事項の説明を行います。
「重要事項説明書」には
- 物件の住所・地番や面積
- 用途や建ぺい率など法令に関すること
- 土地と道路に関すること
- 電気・水道・ガスなどインフラに関すること
- 代金に関すること
- 契約解除に関すること
など大切な内容が記載されています。よく読んで不明なところは質問するようにしましょう。
④ 不動産売買契約を結ぶ
⑤ 住宅ローンの仮審査を受ける
⑥ 住宅ローンの本審査を受ける
⑦ 住宅ローンの契約をする
⑧ 物件価格や諸費用を支払う
⑨ 引き渡し・入居
なお、購入する中古物件がリフォームを必要とする場合は、住宅ローンの申し込み後にリフォーム工事を行います。
住宅ローンで知っておきたい用語㊿: 旧法借地権
旧法借地権とは、大正4年から平成4まであった法律です。
「借地権」とは他人の土地を借りて、そこに自分の家を建てられるという権利のことを指します。
土地を借りる人にとっては
・家を建てるときに土地代が不要になる(土地の権利金または保証金だけでいい)
・土地の固定資産税を納める必要がない
・借地権付き住宅として物件を売却することができる
などのメリットがあります。
しかし、
・名義変更などの手続きに手間がかかる
・自分の土地に建てた家ではない(借地)ので売却時に資産価値が下がる
というデメリットもあります。
また、土地の持ち主にとっては地代が低下して土地を貸すメリットが少なくなり、近年では借地の提供が減っています。
そこで、平成4年に新しく「借地借家法」が制定されました。
主な内容は以下の通りです。
定期借地権 | 普通借地権 | |
---|---|---|
一般定期借地権 | 建物譲渡特約付き借地権 | |
期限が満了したら土地を更地にして地主に返還する | 期限が満了したら建物付きで地主に返還する | 期限が満了しても借地人が望む限り自動的に契約が更新される |
存続期間は50年以上 | 存続期間は30年以上 | |
契約の更新は不可 (合意による再契約は可能) |
契約の更新は不可 (建物の賃貸契約は可能) |
契約の更新は可能 (1回目の更新は20年、其の後は10年ごとに契約) |
なお、旧法借地権で契約された土地は法改正とともに自動的に新しい法律での契約に切り替わるわけではなく、新たに契約を行わない限りは旧法に従うことになります。
借地権付きの物件を購入する場合は、旧法と新法のどちらになっているのか、また新法の場合は定期借地権か普通借地権かを確かめましょう。
付帯設備表に書かれていること
中古物件を購入する場合は「土地」と建物」だけでなく、それに付随するものがあります。
下記の表のように住宅設備に関する一覧表を書き出したものが「付帯設備表」です。
【付帯設備表の記載項目とチェック内容】
それぞれの項目について「有」「無」「撤去」のいずれかをチェックします。
「無」はもともと付帯していない場合で、「撤去」は売り主が撤去することを示します。
また、それぞれの設備が使用可能かどうかも明記して、最後に売り主と買い主が署名・押印をします。
外回り | ガレージ | |
---|---|---|
物置 | ||
門・塀 | ||
ポスト(郵便受け) | ||
玄関・窓 | 下駄箱 | |
インターフォン | ||
網戸 | ||
雨戸 | ||
水まわり | キッチン | 流し台 |
換気扇 | ||
ガスコンロ・ガステーブル | ||
食器洗い乾燥機 | ||
浴室・洗面所 | 給湯機・湯沸かし器 | |
シャワー | ||
風呂釜 | ||
浴室乾燥機 | ||
洗面台 | ||
鏡 | ||
コンセント | ||
トイレ | トイレ設備一式 | |
冷暖房機 | エアコン | |
冷房機・暖房機 | ||
床暖房設備 | ||
照明器具 | 屋内照明器具 | |
屋外照明器具 | ||
収納関係 | 吊り戸棚 | |
床下収納 | ||
その他 | ふすま | |
障子 | ||
畳・カーペット | ||
カーテン・カーテンレール |
社団法人全国宅地建物取引業協会連合会のホームページに設備付帯表の様式があるのでご参照ください。
メモ:付帯設備表が作成される目的
売却される中古物件には、もともと備え付けられている住宅設備があります。
例えばガレージや門扉、インターフォン、エアコンなどで、通常は物件を売却する際にそのまま買い主に引き渡されますが、まれに引き渡し前に売り主が取り外してしまってトラブルに発展する可能性があります。
「インターフォンがついていたのに、入居時にはなくなっていた」
「エアコンが古そうだったので取り外してくれると思って新しいものを購入したのに、入居時にまだついていて撤去費用と処分費用がかかってしまった」
など、さまざまな問題が発生します。
それを防ぐために、あらかじめどんな設備がついているのかを明記した書類を交わします。それが「付帯設備表」です。
付帯設備表ではそれぞれのモノがあるかどうかだけでなく、作動するかどうかもチェックしましょう。
物件状況等報告書でチェックすべきポイント
売買される中古物件がどのような状況にあるのかを示した書類が「物件状況等報告書」です。
記載内容には、次の項目があります。
- 雨漏り
- シロアリの被害
- 石綿(アスベスト)の使用の有無
- 水まわり(給排水設備)の故障・漏水
- 建物の傾き
- 増改築の履歴
- 新築時の建築確認通知書・検査済証の有無
- 騒音・振動・臭気など
- 地盤沈下・軟弱
- 土壌汚染
- 境界
- 電波障害
など
「物件状況等報告書」は「告知書」とも呼ばれます。
事前に必ず確認しておきましょう。
中古物件の購入で、トラブルを防ぐには?
中古物件は建築から年数が経過している上に、住民が使用しているため人の手がが入っています。
- むやみに増改築をした結果、耐震性に問題がある
- 仕事で帰りが遅く、換気をしていなかったために湿気で床や木材が傷んでいる
- 排水口が臭い
- トイレの水の流れが悪い
など、実際に住んでみてわかる不備などがあるものです。
見た目ではわかりにくい点は「物件状況等報告書」や「付帯設備表」などでよく確認すると同時に、後で問題が発生した場合の補償についてもよく確かめておきましょう。
まとめ|中古物件の受け渡し書類は、正しい読み方をマスターしよう
中古物件は新築物件よりも安価で広い家が手に入るのが魅力ですが、築年数が経過している上に前の住民の暮らしぶりなどで住まいや設備に問題を抱えている可能性があります。
後々のトラブルを避けるために物件を説明する書類には必ず目を通して、しつこいほど質問や確認をしておきましょう。