繰り上げ返済に利用したい、家族の援助と贈与税の問題
「住宅ローンの支払いが苦しい」というとき、援助してくれる家族、親族がいれば、支払いのサポートをお願いしてみましょう。ここでは、繰り上げ返済を家族に頼むコツと、贈与税の問題について説明します。
支払いの問題だけでなく、これから「二世帯で住む」という方も、本記事を参考にしてみてください。
この記事でわかること
フラット35Sの返済|家族からの援助を受けて「繰り上げ」してみる
親や兄弟・姉妹が「支払いを援助してくれる」のなら、ぜひ繰り上げ返済に充当してみてください。親に援助を頼む場合、同居を視野に入れれば頼みやすいはずです。最近では、二世帯を完全にセパレートさせた、新しい形の住まいが増えてきています。
住居が完全に区切られていれば、親との同居も負担無く、快適に過ごせるはずです。また、バリアフリー化された住まいには、フラット35Sなど、金利の優遇(通常より低金利で借りられる)があるのでお得です。
繰り上げ返済にピッタリ! 低金利が魅力の「フラット35S」
フラット35Sでは、借入から5年「利息の引き下げ」を実施します。金利が低い間には、できるだけ繰り上げ返済を行ってください。繰り上げ返済をしておけば、後々、支払いの負担が大幅にカットできます。
以下では、5年目以降は金利が上がる「フラット35S」でシミュレーションをしてみました。金利が上がらない5年以内に「1,000万円の繰り上げ返済」をすれば、返済総額は、どのくらい変わるのでしょうか?
繰り上げの有無 | 毎月返済額 | 返済総額 |
---|---|---|
① 繰り上げ返済なし | 月々95,120円の返済 | 36,356,100円 |
② 借入から5年以内に、1,000万円の繰り上げ返済 | 繰り上げ後から、 月々62,170円の返済 |
34,358,200円 (1,997,900円お得) |
上段①は繰り上げ返済しない場合で、下段②は繰り上げ返済した場合の金額です。いかがですか? 5年以内に1,000万円の繰り上げをすれば「200万円近い」お金が(全体の支払いから)節約できます。
もちろん、1,000万円を5年間でやり繰りするのは大変です…。特に頭金を多く支払った方は、家計のやり繰りだけで、いっぱいいっぱいになるでしょう。
ただ、光熱費や通信費の節約を頑張れば「5年=1,000万円を貯める」のは、不可能ではありません。もしも、家族の援助が得られるのなら、まとまった金額を借りて、早めに繰り上げ返済を実行しましょう。
なお「繰り上げ返済のメリット」については、以下の記事でも詳しく解説をしています。本記事と合わせて、返済の参考にしてみてください。
家族から資金援助を受けたら「贈与税」が発生するので、注意が必要!
次に、住宅ローンと切り離せない税金の問題について見ていきましょう。家族の協力(配偶者や親族の資産で)で繰り上げ返済をする場合、一定の「お金のやりとり」に対して、贈与税が発生します。
支払うべき「贈与税」については、以下の表で確認できます。
贈与する金額 | 実行税率 | 控除額 | 支払う金額 (基礎控除を110万円引いた後の金額) |
---|---|---|---|
200万円まで | 4.5% | 0円 | 9万円 |
300万円まで | 6.4% | 10万円 | 19万円 |
400万円まで | 8.4% | 25万円 | 33.5万円 |
600万円まで | 11.4% | 65万円 | 68万円 |
1,000万円まで | 17.7% | 125万円 | 230.6万円 |
1,000万円以上 | 17.8%〜 | 225万円〜 | 231万円〜 |
(平成27年1月1日以降の例)
上記では、贈与を受ける相手が「親など直系の家族」と仮定し、シミュレーションしました。しかし「血縁関係以外の、他人から贈与を受ける場合」は、税率が変わってきます。
同じ1,000万円の贈与でも、親から受ける場合は177万円(実行税率17.7%)の税金で済みますが、他人から贈与を受けた場合、231万円の税金(実効税率23.1%)を支払う必要があります。
住宅ローンの援助を求める場合、誰から贈与を受けるのか、よく考えてから繰り上げ返済を行いましょう。せっかく援助が得られても、1,000万円を越える贈与には、多額の贈与税が発生します。
まずは、家族と話し合って、贈与や繰り上げ返済を上手に活用しましょう。
ワンポイントメモ 贈与税が「非課税」になるのは、こんな時!
繰り上げ返済には適用されませんが、住まいを取得する際には、贈与税が一部非課税になり、条件に合えば、最高3,000万円贈与も非課税になります(平成28年2月末時点のデータ)。これから住まいを購入・リフォーム(増改築)される方は、国税庁のサイトで「非課税条件」を確認してみてください。
まとめ:繰り上げ返済にも「贈与税」が発生するので注意!
利息が上がる前に、繰り上げ返済をすることは大切なことです。特に、借入の負担を減らしたい方は、まとまったお金を準備して、繰り上げ返済に充当してください。
この場合、家族の援助があれば、繰り上げ返済はラクに行えます。贈与税がいくら発生するのか確認し「負担が少なくなるようなら」家族のサポートを受けて、返済をしましょう。