債務整理・消費者金融を利用すると、住宅ローンの審査は難しくなる
テレビでは頻繁に「債務整理」や、借金問題のCMを放送しています。実は、過去にお金に関するトラブルを抱えていると、住宅ローン審査が通りにくくなるのをご存じでしょうか?
本記事では、通称「金融事故」と呼ばれる、借入返済の延滞や遅延、債務整理と住宅ローン審査の関係について詳しく説明しましょう。
この記事でわかること
金融事故とローン審査の関係について
複数の消費者金融やクレジットカードのキャッシングなどで借金をすることを「多重債務」といいます。
これらのキャッシングは金利が高いために、返済しても利息ばかりを返して元金がなかなか減っていきません。
返済日に手元にお金がなくて他社で借りてそれで返すという「自転車操業」をするケースがよく見られます。
手軽に借りられるために借金をしているという意識が薄くなるのが特徴で、雪だるま式に借金が増えていきます。
多重債務に陥ると毎月の返済額が高額になりますし、返済遅延になりがちです。
また個人信用情報機関にも借入の記録が残るため、住宅ローンの融資を受けるのは難しくなります。
住宅ローンで知っておきたい用語㊸: 債務整理
「債務整理」とは多重債務者を救済する措置のことで、高い利息の返済を免除したり、返済そのものを免除したりします。
債務整理には、次の4つの方法があります。
① 任意整理
② 個人再生
③ 特定調停
④ 自己破産
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債務整理で、ローンが通らなくなる理由
債務整理をすれば高い利息の返済はなくなりますし、自己破産は返済すらなくなりますが、個人信用情報機関に「金融事故情報」として5年間は記録が残ってしまいます。
個人信用情報機関はそれぞれが情報を共有していて、金融期間やクレジット会社などが情報を照会して確認ができます。
そのため、複数の会社から借入があったり、返済の遅延が続いていたり、債務整理をしたりすると住宅ローンの審査時に個人信用情報機関に照会して融資が否決されることになります。
たびたび返済が遅れたり、督促状が届いたりする状況も事故情報として個人信用情報機関に記録が残ります。
注意しましょう。
メモ:信用情報機関には、どのような種類があるのか
信用情報機関では個人の氏名、生年月日、住所、性別、勤務先といった個人情報のほかに、ローンやクレジットの借入金額、借入時と最終返済日、返済状況(遅延の有無など)などが細かく登録されています。
返済に関しては完済した日、解約、強制回収や債務整理の記録も登録されます。
現在日本には、次の3つの機関があります。
信用情報機関 | 特徴 |
---|---|
CIC | クレジットカード会社、信販会社、消費者金融、リース会社、携帯電話会社などが加盟 |
JICC(日本信用情報機構) | クレジット会社、リース会社、保証会社、金融機関など多くが加盟 |
全国銀行個人信用情報センター | 銀行、信用金庫、農協などの金融機関が加盟 |
債務整理などの金融事故情報は3つの機関で共有しています。
なお、ここで注意したいのはCICに携帯電話会社が加盟しているという点です。
携帯電話やスマートフォンの本体代は高額なため分割払いをしている方が多くいますが、本人はその意識があまりありません。
しかも携帯電話の利用料と一緒に支払う(銀行からの引き落としやクレジットカードでの支払い)ようになっています。
うっかり銀行の残高不足で支払いができないと、「返済遅延」として個人信用情報機関に「事故情報」として記録される可能性があります。
こういった支払いも遅れることのないように注意しましょう。
金融事故の種類と、個人信用情報について
金融事故には
- 多重債務
- 度重なる返済の遅れ
- 長期間の返済遅延
などがあります。これらは個人信用情報機関に事故情報として記録されます。
また、債務整理も金融事故として残ります。
債務整理の4つの内容について詳しくご説明します。
① 任意整理
貸し主に払い過ぎた利息を借入の残高から差し引いてもらい、残りの元金だけを返済する方法です。弁護士や司法書士に間に入ってもらって返済期間などの調整をしてもらいます。
② 個人再生
自宅を持っている人がそれを手放すことなく残金を返済する方法です。
裁判所を通す必要がありますが、再生計画を立ててそれに沿って返済していきます。
③ 特定調停
裁判所の調停委員が貸し主との間を仲介して借入を整理します。
手続きが煩雑で時間がかかること、少しでも返済が遅れると財産を回収されるといったデメリットがあります。
④ 自己破産
裁判所に自己破産の申し立てをし、認められると「免責」といって借金の返済から免れます。
つまり返済をしなくてもよくなり、取り立てもなくなります。
ただし、車や家など自己所有の財産がある場合は免責が下りない可能性があります。
お金のトラブルを解決して、住宅ローンを通す方法
今現在債務整理をしてから5年未満という人は事故情報が登録されています。
これを削除することはできません。
住宅ローンを利用するには、この記録が消えるまで待つしかありません。
その間に新しい借金を作らないように注意しましょう。
まとめ|お金の問題を解決してから、住宅ローンを申し込もう
消費者金融やクレジットカードのキャッシングは手軽に利用でき、リボ払いで毎月の返済額が少額で済みますが、そのために借金がどんどん増えていきます。
その結果、多重債務になり返済が遅れ遅延情報や債務整理などの事故情報が個人信用情報機関に登録されてしまいます。
一度登録されると事故情報は5年間は消えません。
金融事故を起こさないことが何よりも大切です。
また、現在借入がある場合は速やかに返済してから住宅ローンを申し込むようにしましょう。