住宅ローンの本審査は、何を調査されるの?
本記事では、住宅ローン審査で「何を調査しているのか」本審査のポイントについて、詳しく説明したいと思います。また、可決されるための書類作成のコツや、審査で気をつけたい点についても、合わせて解説します。
この記事でわかること
本審査の流れ
事前審査が通ったという連絡が入ったら、本審査に進みます。
本審査を受ける前に必要な書類を全部そろえましょう。
必要書類は金融機関によって異なるので、必ず事前に確認してください。
本審査は金融機関の店頭窓口に書類を持参して申し込む方法と郵送で申し込む方法があります。
どちらでも可能ですが、郵送の場合は書類に不備や不足があると、審査開始が遅くなってしまいます。
なるべく窓口に出向いて担当者に確認してもらいながら進めるようにしましょう。
本審査の結果が出るまでは、早いところで1週間程度ですが、1ヶ月前後が多いようです。
長いところは1ヶ月半ほどかかりますし、申込状況によって時間がかかることがあります。
本審査は早めに申し込むようにしましょう。
住宅ローンの本審査で調べられること
本審査は事前審査よりもさらに詳細に申込者のことを調べます。
本審査の目的は「返済能力があるかどうか」です。
そのために、次の4点を重点的に調査します。
- 勤務先・勤続年数・年収
- 返済負担率
- 個人信用情報
- 既存の借入状況
では、それぞれをくわしくご説明します。
①勤務先と勤続年数、年収について
勤務先を聞くのは、「倒産しない会社に勤めているかどうか」を見るためです。
中小企業よりも大企業の方が審査は通りやすくなります。公務員は本人が辞めない限り勤め先がつぶれることはないため、住宅ローンに限らずローン審査は本人の個人信用情報などに問題がない限りほぼ通ると言ってもいいでしょう。
金融機関では
- 公務員や上場企業は加点
- 自営業は減点
- 勤続年数が長ければ加点、短ければ減点
といった基準に沿って審査されます。
ただし、勤続年数に関しては、近年は転職をしてステージアップする人が多いため、必ずしも勤続年数が短いことが問題になるわけではありません。
年収に関してはやはり返済能力に直結することだけに、大きなポイントになります。
②返済負担率
住宅ローンを含めたその他のローン・クレジットカードの返済額が、その人の年収の中でどれくらいの割合を占めているかが「返済負担率」です。
金融機関では審査金利を3.25%~4%に設定し、その金利で借り入れた場合の返済額で計算します。そのため、1.0%で計算した場合よりも返済負担率は高くなりますが、その他のローンなどの返済額と合わせて返済負担率が次の範囲かどうかを判断します。
年収 | 返済負担率 |
---|---|
250万円未満 | 25% |
250万円以上400万円未満 | 30% |
400万円以上 | 35% |
(ただし基準は金融機関によって異なります)
③個人信用情報
個人信用情報機関(全国銀行個人信用情報センター(KSC)、シー・アイ・シー(CIC)、(株)日本信用情報機構(JICC)の3機関に
- 氏名・生年月日・性別・住所・勤務先
- 過去と現在の借入状況・返済履歴
- 自己破産や債務整理の経験があるか
- 延滞の履歴
などが登録されています。
住宅ローンの本審査ではこの個人信用情報を必ずチェックします。しかもこの個人信用情報は過去5年~7年間の記録が保存されています。
本審査の申し込み用紙に現在の借入額(その他のローンの残高など)をごまかして書いてもバレてしまうので注意しましょう。
④既存の借入状況
既存の借入状況は返済負担率に大きく影響します。また、個人信用情報でも確認されます。
なお、既存の借入状況で気をつけたいのは「携帯電話の本体代の支払い」です。多くの人が24回払いなど分割で支払っていますが、これはクレジット契約とみなされます。携帯電話の料金が払えないと「返済遅延」として個人信用情報に「事故情報」として登録されることがあります。携帯電話の支払いなども遅れないように気をつけましょう。
住宅ローンで知っておきたい用語㊳: 収入合算
住宅ローンを申し込みたい人の年収が少ない場合、配偶者や両親(またはこども)など家族の年収を合わせて(合算して)申し込むことをいいます。
例えば夫の年収が350万円、妻の年収が300万円の場合。
夫の年収350万円だけでは住宅ローンの審査が通らないというときに、妻の年収の半分(150万円)を加算して450万円として審査を受ける方法が「収入合算」です。
【収入合算の注意点】
近年は非正規雇用で働く人が増えて、年収が少ない場合があります。
そういうときに収入合算はいい方法ですが、次の点に注意が必要です。
① お互いに連帯保証人になる
② どちらかが仕事を辞めて収入が減ったときに返済が厳しくなる
③ ほかのローンが組みにくくなる
夫婦で大きな借金を背負うことになるので、その分さまざまなリスクが発生します。
無理のない融資額を検討しましょう。
収入合算にはひとつの契約を夫婦それぞれが債務者となる「連帯債務」という方法もあります。
これは夫がひとりで住宅ローンを申し込んだら2500万円しか借りられないが、妻の収入を合算して審査を受けることで3500万円まで借りられたという場合、増加した1000万円を妻の債務とするのではなく夫婦それぞれが3500万円の債務を負うというものです。
また、夫が2500万円、妻が1000万円を借りる「ペアローン」もありますが、これは契約が2本になるためそれぞれに諸費用がかかります。
本審査を受ける際、必要な書類
本審査を申し込むときには、
- 本人確認に関する書類
- 所得を証明する書類
- 物件に関する書類
など多くの書類が必要になります。
役所で取り寄せるもの、勤務先で発行してもらうもの、不動産会社で準備してもらうものなどさまざまです。
事前によく確認して不備のないように準備しましょう。
メモ:元金一括返済
毎月の返済は利息だけで、元金は借入期間の最終日に一括して返済することを「元金一括返済」といいます。
毎月は利息の返済だけなので返済額が少ないのが特徴です。その分を貯金して最後に元金を一括して返済するなどの方法があります。
ただし住宅ローンでは融資額が大きいことと返済期間が長いために元金一括返済はほとんどの金融機関で扱っていません。
本審査で気をつけるべきポイント
本審査を申し込んでから高額なローンを組んだり、キャッシングやリボ払いをしたりということのないように気をつけましょう。また返済の遅延がないようにしてください。
これらは「条件変更」となり、再審査の対象になってしまいます。場合によっては融資を断られる可能性もあります。
軽い気持ちでカードで買い物をしたり、通帳が残高不足で返済ができなかったりということのないように気をつけましょう。
まとめ|本審査可決後も、再審査に備えて気を抜かないこと
本審査はさまざまな角度から返済能力を調べられます。
ただ、その基準は金融機関によって異なります。
審査が通るまでは気を抜かずにカードの使用は控えるようにしましょう。